「GROWSCAPE(グロウスケープ)®」による組織力測定のススメ【連載コラム③】組織力のBefore→Afterを数値化し、課題解決の道筋を描く

このコラムでは、企業の組織力(人的資本)の経年変化を数値化し、課題解決を後押しする指標 「GROWSCAPE ®」について、全3回で背景と概要をお伝えしてきました。

第1回では、業績向上と人的資本KPIの相関関係を示し、組織力を数値で捉える意義を解説しました。

第2回では、人事領域における「KAIZEN」の視点を踏まえ、継続的改善による課題解決を考察しました。

第1回 業績向上と人的資本KPIの相関関係を導き出す

第2回 人事にもKAIZENを。継続的改善で組織力を高める

・第3回 組織力のBefore→Afterを数値化し、課題解決の道筋を描く


第3回目の本コラムでは、GROWSCAPE®を用いた組織力の測定と、それによるタイプ診断についてご紹介します。


【第3回】組織力のBefore→Afterを数値化し、課題解決の道筋を描く

組織力を数字で表すということは簡単なことではありません。

筆者自身も、インタビューなどの調査による定性的な情報に基づく組織診断は行ってきましたが、数値データとして記録された事実(ファクト)に基づいて組織力の変化を数字で表す方法を持ち合わせていませんでした。

一部にはエンゲージメントと業績の関連性を立証した報告もあり、こうした報告を踏まえて、“組織力が高まることは中長期的な業績に必ずプラスに作用する”という定説に共感し、組織力の変化をシンプルに数字で表す方法を模索して具現化したものが「GROWSCAPE®」です。

「GROWSCAPE®」による測定は、国際統合報告フレームワーク(現IFRS財団)が提唱する価値創造プロセス(通称オクトパスモデル)における人的資本のインプットとアウトカムの変化率を測定することを意味します。

国際統合報告フレームワーク(現IFRS財団)が提唱する価値創造プロセス

「GROWSCAPE®」で2年間の組織力の変化を数値化

 

「GROWSCAPE®」は、評価する年度(Y年度)とその前年度(Y-1年度)の2年間を対象に、以下の3つを計算し、それらを合計した割合(%)で組織力の変化(Before→After)を表現します。

 

・1年目に入職した人の2年目のスコア合計値※(増加割合)

・2年目に退職した人の1年目のスコア合計値(減少割合)

・終始在籍している従業者のスコア合計値の増減割合

※スコア合計値:次の段落に記載しています。

 

 「GROWSCAPE®」を計算する概念図

 

 

スコア合計値とは 

 

スコア合計値とは、組織力の増減を測定するための尺度を指し、以下の3つから選ぶことができます。

1.年収(例:給与と賞与、場合によって福利厚生等を含めた支給額)

2.エンゲージメントスコア(例:従業員エンゲージメントの総合点)

3.能力評価スコア(例:コンピテンシーを絶対評価で採点した評点)

 

どの尺度を選ぶかによって、測定結果の解釈は変わります。

例:

・「年収」を選択した場合:

退職者の平均年収が入職者の平均年収より相対的に高いと、入職者と退職者の人数が同じときには計算結果はマイナスになります。

そのため、これが会社の方針に合致していれば「順調な推移」と捉えることができますが、方針に沿わない場合には「対策を講じる必要がある」ということになります。

 

 

「GROWSCAPE®」の測定結果は、6タイプに分類可能!

 

「GROWSCAPE®測定結果のタイプ分けの事例

 

前述の通り「GROWSCAPE®」の測定は入職、離職、在籍の3つの増減率で構成されます。
3要素の計算結果のうち、どの要素が合計に大きな影響を及ぼすかによって、6つのタイプに分類することができます。

さらに、測定結果のタイプ分類に加えて、入職者や退職者の平均値、それぞれの属性の構成などを複合的に把握することで、測定結果についてより具体的な考察ができます。

この診断と考察は、第2回のコラムで重要性を説いた「経営の重点課題(目的)と人事戦略の妥当性を担保する」ための検証手段となります。人材の採用や離職防止は、どの会社においても重要な課題ですが、全ての施策に対して全方位的に注力するのは現実的ではありません。

「GROWSCAPE®」を使ったタイプ別診断や考察を通じて、採用、離職防止、人材マネジメントのうち特に重視すべき対象が明らかになり、具体的なKAIZENプロセスを実践することができるのです。

 

人的資本の増減を数値で測定し、その結果を考察することは、「人事施策の継続的な改善=人的資本を持続的に強化するプロセス」を起動するトリガーとなります。
CHROFYは「GROWSCAPE®」がより多くの企業様のお役に立てるよう、多様なご意見やニーズをお伺いしながら新しい価値を共創していきたいと考えています。組織力(人的資本)の測定やタイプ別診断などにご興味をお持ちいただけましたら、どうぞお気軽にお声がけいただけますと幸いです。

 お問合せ先:inq@chrofy.co.jp

 

なお、「GROWSCAPE®」という名称は、「成長」を意味する“Growth”と、「状況や環境を見渡す」という意味の“Landscape”を掛け合わせた造語です。
この指標は、「会社が成長するための羅針盤の役割を果たしたい」という思いを込めております。
「GROWSCAPE®」は特許に基づく指標であり、CHROFYが独占的に使用する権利を有し、商標登録もされています。

  

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