「GROWSCAPE®(グロウスケープ)」による組織力測定のススメ【連載コラム②】人事にもKAIZENを。継続的改善で組織力を高める

このコラムでは、企業の組織力(人的資本)の経年変化を数値化し、課題解決を後押しする指標 「GROWSCAPE ®」について、全3回で背景と概要をお伝えします。

前回は、業績向上と人的資本KPIの関係を捉え、組織力を数値で把握する意義をお伝えしました。第2回は、人事領域における「KAIZEN」の視点と課題解決を考えます。

第1回 業績向上と人的資本KPIの相関関係を導き出す

・第2回 人事にもKAIZENを。継続的改善で組織力を高める

第3回 組織力のBefore→Afterを数値化し、課題解決の道筋を描く


【第2回】人事にもKAIZENを。継続的改善で組織力を高める

世の中の組織は、必ず何かしらの課題を抱えています。
また、組織で働く全ての人は、一人ひとりが士気を上げる、あるいは士気を下げる基準を持っています。
従って、より多くの人が士気を低下させるような要因を特定して、それを排除することは組織力を高めるための効果的な手段になります。
ご参考までに、生成系AIに「士気を低下させる要因」を尋ねてみると、以下のようなものが例示されました。

・キャリア開発の機会不足

・業務のマンネリ化、長期滞留

・業務過多による疲弊(ワークライフバランスの崩れ)

・成長実感の不足

・評価制度の不明瞭さ、不公平感

・コミュニケーション不足

組織の課題を解決するための人事部門のミッションとしては、人事制度の刷新や情報システムの導入という大きなテーマもありますが、効果は期待できるものの多大な労力と投資が伴う上に、数年がかりの取り組みとなるため即効性が期待できるものではありません。

一方、人事の施策について断続的に改良を加えることは、制度やシステムの刷新に比べて実践しやすいアプローチであり、少なくとも1年単位で効果をモニタリングできます。

悪い状態を良くするという意味の単なる改善ではなく、継続的な改善により、より良い状態へ変化し続けるという意味が込められている“KAIZEN”は、モノづくりの世界では当たり前ですが、人事の分野においても有効なため、自社に合ったやりやすい形で継続的に取り組むべきです。継続的な改善を体系化した典型的な参考例は、ISO(International Organization for Standardization※)による国際規格があります。品質、環境、情報セキュリティなどの分野で、要求事項に組み込まれているマネジメント・システムでは、継続的改善が仕組みとして求められています。

ISOのマネジメント・システムにある「マネジメントレビュー」という仕組みを取り入れることにより、継続的な人的資本の充実を実現するための仕組みをビルトインすることができます。下図の「アウトプット」に例示した項目の一つひとつが、KAIZEN(継続的な人事施策の改良)の対象となります。

マネジメントレビューに着想を得た継続的な組織力向上サイクルの例

継続的に組織力を高めるサイクルを有効にするためには、不可欠な要件があります。

それは、経営の重点課題(目的)と人事戦略の妥当性を担保すること、そして勘のみに頼らず、定量的にモニタリングすることです。

 

重点的に対処すべき課題を見極める考え方や手段はさまざまなものがありますが、CHROFYは「組織力の強弱に大きく影響を及ぼす要因」に着眼することが最も重要だと考えています。

こうした要因は多様ですが、特に直接的に影響する以下の3つの要素を重点的にアプローチすることを推奨します。

①従業者へのケア(人材マネジメント)

②採用と定着

③退職者マネジメント

 

これにより、昨年度(Y年)は一昨年(Y-1年)より、組織力がアップしたのか、あるいはダウンしたのかを、

a.入職による戦力アップ

b.退職による戦力ダウン

c.在職者のアップダウン

という3つの要素を数字で表して足し引きすることより、疑似的に組織力の増減を数字で表現できます。そして、この考え方が「GROWSCAPE®」の土台になっています。

 

 重点的に対処すべき課題を適切に見極めるための戦力増減の考え方

 

以上のように、すべての組織は課題を抱えており、継続的に組織力を高めるサイクルを組織内にビルトインする必要があります。
そして、そのサイクルが正しい方向に作用するためには、目指すべき方向の妥当性を担保することが重要です。そのため、CHROFYの「GROWSCAPE®」を活用することにより組織力の向上が実現します。

 

第3回では、「GROWSCAPE®」を用いた測定とタイプ診断についてご紹介します。
第3回 組織力のBefore→Afterを数値化し、課題解決の道筋を描く

 

なお、「GROWSCAPE®」という名称は、「成長」を意味する“Growth”と、「状況や環境を見渡す」という意味の“Landscape”を掛け合わせた造語です。
この指標は、「会社が成長するための羅針盤の役割を果たしたい」という思いを込めております。
「GROWSCAPE®」は特許に基づく指標であり、CHROFYが独占的に使用する権利を有し、商標登録もされています。

 

※International Organization for Standardization: https://www.iso.org/home.html
なお、人的資本分野のISO30414:2018は、内部及び外部人的資本報告の指針 Guidelines for internal and external human capital reporting(2025年改訂予定FDISはRequirements and recommendations for human capital reporting and disclosure)であり「報告の指針」を示しています。
一方、品質ISO9001、環境ISO14001、情報セキュリティISO27001は継続的改善を全社活動として体系化した「マネジメントシステム」であるため、ISO30414の規格構成とは相違があります。

  

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