【人的資本経営ストーリー作成塾】第9回人的資本経営キャンバス(その2)

CHROFYは、「人的資本」や「人的資本経営」に関する専門家たちのご協力のもと、人事・経営に役立つ情報を定期的にお届けしています。

 

【人的資本経営ストーリー作成塾】では、事業創造大学院大学 一守靖教授から、人的資本経営や人的資本経営のストーリーを作成する上でのポイントなどを解説していただいています。

今回は、「人的資本経営キャンバス」の使い方についてご説明します。

 

① 人的資本経営ストーリーを考える

人的資本経営という概念は、人的資本経営モデルで示した要素の1つひとつによって構成されます。そこでまずは、「人的資本経営キャンバス」に記載した、8つの要素1つひとつの内容を検討し、テンプレートを埋めていきます。これによって、各要素の内容を確認しながら、人的資本経営全体のストーリーを設計することができます。

<「人的資本経営キャンバス」の8つの要素>

※詳細は第8回人的資本経営キャンバス(その1)を参照。

  1. 企業の存在価値
  2. 企業文化
  3. 企業を取り巻く環境
  4. 経営戦略
  5. 人事戦略
  6. 人材マネジメント上の課題あるいは方向性
  7. 人材マネジメント施策
  8. 人的資本指標



② 各要素間の連動性を確認する

人的資本経営を推進するうえで繰り返し強調すべき点は、経営戦略と人事戦略との連動です。そして、経営戦略や人事戦略はまた、企業の存在意義や組織文化の影響も受けるというお話をしてきました。そこで「人的資本経営キャンバス」を用いて、企業の存在意義から始まる各要素の連動性を確認します。
これを行うと、例えば人事施策はたくさん導入しているものの、それが何のために導入されたものなのかが不明確な施策が見えてきたりします。あるいは、人事戦略実現のために意味のある人事施策が導入されているものの、その進捗や成果を測るための指標が設定されていない、というのもよくあるケースです。「人的資本経営キャンバス」を用いれば、そうした点の気づきにつながります。



③ 統合報告書や有価証券報告書作成の参考にする

このように書くと、順番が逆であると感じる方がいるかも知れません。確かに「人的資本経営キャンバス」を最初に作成する時は、記載する情報の多くは統合報告書や有価証券報告書から持ってくるからです。しかし一度「人的資本経営キャンバス」を作成すれば、経営戦略の見直しがない限り、さほど多くの修正は必要ありません。PDCAを回していく過程で人事施策を追加・修正したり、それに応じて指標を見直したりして内容をメンテナンスしていくことが中心となります。このような状況になると、「人的資本経営キャンバス」は、人的資本経営を示す1枚の仕様書のようになります。この仕様書を前に置きながら、前年度の統合報告書や有価証券報告書で記述し足りないところはなかったか、違う表現の方がよりステークホルダーに伝わりやすいのではないかなどについて検討することができます。



④ 人的資本経営に対する社員の理解を高める

上場企業は、自社の人的資本経営について、統合報告書や有価証券報告書によって株主をはじめとしたステークホルダーに対して取り組み内容を説明します。人的資本経営に積極的に取り組んでいる企業の話によれば、投資家はそれらに記載された情報をよく読んでおり、株主総会などの場でも関連した質問がたくさん出るようになっているそうです。また、求職者も応募先企業の情報をかなり収集しており、統合報告書や有価証券報告書を読み込んでいる方も少なくないようです。
それに比べて、株主や求職者と共に重要なステークホルダーである社員は、自社について書かれた統合報告書や有価証券報告書をあまり読んでいないようです。確かに細かな文字でびっしりと書かれた報告書を読むのは、慣れていない人には少し読みづらいかも知れません。そこで、「人的資本経営キャンバス」を使えば、社員に対して自社の人的資本経営の取り組みを簡潔に紹介することができます。
もともとこの「人的資本経営キャンバス」は、個人がパソコン上で作成することもできるのですが、A1サイズのような大きなサイズのものを用意し、関係者で議論をしながら作成することも想定しています。これを社員研修に用いると、会社の経営戦略と人事戦略とのつながりや、自分たちに適用されている人材マネジメントの意味や会社が目指す姿を社員に理解させることが可能となります。
 
 言うまでもなく、人的資本経営を開示する書類は有価証券報告書だけではありません。従って、有価証券報告書の作成義務がない非上場企業においては、独自の資料を作成し、それを社員や社会に開示して、企業の成長につなげてはいかがでしょうか。
 
さて次回からはいよいよ「人的資本キャンバス」の作成方法についてお話していきます。




一守 靖(いちもり やすし) 事業創造大学院大学 事業創造研究科 教授

慶應義塾大学経営学修士(MBA)、同博士(商学)。ヒューレット・パッカード、シンジェンタ、ティファニー、NCR等の外資系企業、ならびにbitFlyer等のベンチャー企業における人事部門の責任者としてジョブ型人事制度の導入、社員教育、組織文化の変革、人事部員の育成等を推進すると同時に、複数の大学院において教育・研究活動に従事。現在、事業創造大学院大学においてMBA学生を相手に「組織マネジメント/組織行動論」、「人的資本経営とDX」などを教えるほか、法政大学経営大学院兼任講師、富山大学大学院非常勤講師、ピープルマネジメント研究所代表を兼務。専門は人的資源管理論、組織行動論。

主な著書:「人的資本経営のマネジメント:人と組織の見える化とその開示」(中央経済社 2022年)

 

 

今回のコラムでも、「経営戦略と人事戦略との連動」の重要性について触れていますが、CHROFYは人的資本経営を成功に導く上で、企業の「経営戦略と人事戦略との連動」を特に重要視しています。これをより手厚くサポートするために、経営計画や経営戦略KGIを設定し、人事戦略KPIと簡単に連携・管理できる機能など、3つの新機能を2月9日より追加しました。

経営計画と人事戦略一貫性を持たせ、より本質的な人的資本経営を実現するために「CHROFY」の導入をご検討ください。

 

※関連記事:人的資本経営ソリューション「CHROFY」、経営戦略のKGI管理など3つの新機能を発表〜業界に先駆け、経営目標と人事指標をシームレスに連動!〜

 

 

CHROFYは、今後も、人事・経営に役立つ情報を定期的に発信していきますので、どうぞお楽しみに。

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